崩壊都市東京 第四話(前編)

第4話:失われた地図(前編)

「……仙台、だって?」

夕暮れに染まる廃墟の屋上。崩れかけた看板が風に揺れ、文字のほとんどが剥げ落ちていた。太陽はその下で、朽ちたラジオから流れてきた情報を信じられない思いで聞き返した。

「そうだ。首都機能は、全部あっちに移ったらしい」

答えたのは結だった。彼が拾ってきたラジオは年代物で、途切れ途切れにしか受信できないが、数時間前にかすかにニュースを拾った。仙台に臨時政府があり、奪還作戦の準備が進んでいるらしい。

「どうやって……行くんだよ」

「歩くしかねえだろ。モンスターに出くわさないよう祈りながら、な」

重苦しい沈黙が流れる。西行寺さくらは扇子を畳みながら、瓦礫の上に腰を下ろした。

「私も行くわ。適応者として、何かできるかもしれないし」

「……いいのかよ。あんた、俺たちとは初対面だぞ」

「あなたたちには、何かある気がするの。見捨てられないわ」

さくらの瞳は真っ直ぐだった。太陽は少しだけ頷いた。

その夜、3人は廃ビルの中に寝床を作った。非常食は、コンビニの倉庫から見つけた乾パンと水。電気もガスも通っていない中で、わずかに残っていたロウソクを灯して、眠りについた。

「なあ、太陽。お前……あのときの子、まだ引きずってるか?」

不意に、結が隣から問いかけた。

太陽は答えず、闇の中で目を閉じる。あの、血の涙を流していた少女の姿が脳裏に焼き付いて離れなかった。

翌朝。

目覚めると、外は濃い霧に包まれていた。これはアビスの端に近づいた証。空気が重く、皮膚にじわりと圧力がかかる。

「慎重に行こう。このあたり、モンスターが出るかも」

そう言った瞬間、ビルの外から軋む音が響いた。

「……くる!」

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【投稿者】ますた

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