第6話:共闘の始まり
仙台の拠点は、思った以上に組織立っていた。
兵士たちが装備を点検し、機械班はドローンや偵察機を整備し、後方では医療班が怪我人の手当てを続けている。
かつての自衛隊や警察だけではない。民間から集まった有志、海外から流れ着いた戦士たち。
多様な人々が「東京奪還」のために集結していた。
太陽たちは、指揮官・風間征一郎の指示で仙台班の実力を見るため、
まずは小規模な掃討作戦に参加することになった。
「初陣ってやつだな、東京組」
ヴィクター・ラインハルトが笑い、巨大な戦槌を肩に担ぐ。
「大丈夫かい、少年たち。ここから先は、訓練じゃないよ」
霧島ミユリが不安げに見つめる。
「平気だ。こいつら、何だかんだで生き延びてきた。俺も期待してるぜ」
三好レンは、軽く刀を振り上げ、鞘を鳴らして笑う。
太陽は深呼吸する。
「行こう、結、さくら」
「おう! バッチリ動けるぜ」
結がハンマーを肩に回し、磁力で地面の金属片を引き寄せる。
「私も、全力を出すわ」
さくらは扇子を握り、冷気をまとわせる。
目的地は仙台郊外の廃工場群。
アビスの侵食により半壊した鉄骨建築の迷路だ。
「情報によると、中規模のアビス種がいる。ボス級じゃないが油断はするな」
風間の無線が入る。
周囲に広がるのは、うごめく黒い瘴気。
腐食した地面に、かさかさと足音のような音が響く。
「出るぞ……!」
ヴィクターが号令をかけると、次の瞬間――。
工場の奥から、節足動物のような異形のモンスターが飛び出してきた。
「3体! 一気に来るぞ!」
太陽は結界を展開。透明な光膜が周囲に弾け、迫り来る爪撃を防ぐ。
「くっ……!」
その衝撃の重さに、太陽は思わず後退する。
「太陽、後ろ!」
結が叫び、ハンマーで後方の敵を磁力ごと吹き飛ばす。
「氷花、舞え!」
さくらの氷結の扇が、敵の脚を凍らせ、動きを鈍らせる。
だが――。
「遅い! こっちは片付けたぞ!」
仙台チームが別ラインから突入し、ものの十数秒で敵を一掃していた。
ヴィクターの大槌がひしゃげた頭蓋を粉砕し、レンの刃が細かい切れ目を残し、ミユリの雷撃が断末魔を散らしていく。
「……俺たち、遅い……」
太陽は唇を噛んだ。
確かに生き延びてきた。でも、彼らの動きは、連携も、火力も、全てが段違いだった。
「焦ることはないさ。初めての連携だろ?」
レンが肩を叩く。
「数を踏め。死ななきゃ強くなる」
ヴィクターが笑う。
「でも、その死が君たちのじゃないことを祈るけどね」
ミユリが肩をすくめた。
任務後、仙台本部に戻ると、風間が戦闘記録を確認していた。
「報告を聞いた。悪くない動きだ、だが改善の余地は大きい。しばらくは訓練だな」
太陽は悔しさを胸に、深く頷いた。
(――絶対、追いついてみせる。俺は、あの人を倒さなきゃいけない)
その目に灯った炎は、消えることはなかった。
【投稿者】ますた

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